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By Sample HubSpot User|27 December, 2022

電気料金の高騰により、電力会社と契約できない企業、いわゆる「電力難民」が話題となっている。電力難民になった場合、最終保障供給を通して電気を使用できるが、2022年9月1日より、この制度の料金が変更されることになった。今後、大幅な電気料金の値上げが考えられる。
この記事では、最終保障供給の構造を説明し、2022年9月から料金がどう変わるのか、企業はどう対策すべきなのか、図を交えながら解説する。
最終保障供給とは、電力難民向けのセーフティネットのこと
電気契約をしている電力会社が倒産や撤退、契約解除することになったものの、どの電力会社とも契約ができない、このままでは電気が止まってしまう。最終保障供給は、そのような場合に契約できるセーフティーネットのようなものである。
北海道電力ネットワークや東京電力パワーグリッドなど、全国に10ある一般送配電事業者が、小売電気事業者に代わり、予備用の電気を需要家に向けて供給する。最終保障供給の対象となるのは、ビルや工場など、高圧(50kW〜500kW未満)や特別高圧(500kW以上)の需要家で、家庭や店舗といった低圧需要家(50kW未満)は対象外。契約期間は原則1年以内だが、期間内に新しい電力会社と契約できなかった場合は延長できる。
最終保障供給が定められたきっかけは、2016年4月1日から開始した電力自由化だ。「電気料金の引き下げによる市場競争の活性化」を主な目的とするこの制度により、大手電力会社に加えて、多くの民間企業が電力の販売に新規参入した。
これらの新規参入企業を新電力というが、新電力のほとんどは自社で発電所を持っておらず、「日本卸電力取引所(JEPX)」で仕入れた電気を契約者に提供している。多くの新電力が、仕入れた電気を大手電力会社よりも安い料金で供給することで売り上げを伸ばしていった。
しかし、2021年に入って電気料金が高騰し、2022年にはロシア・ウクライナ情勢や円安ドル高の進行などによって過去最高値を記録。JEPXで扱う電気の価格(市場価格)も大幅に値上がりし、新電力は電気を売れば売るほど赤字になる事態となった。その結果、多くの新電力が倒産や事業撤退、契約解除を余儀なくされている。
もし契約している電力会社が電気を供給しないとなると、その顧客は電気を使用できなくなってしまう。その事態を防ぐために、救済措置として設けられたのが最終保障供給だ。この制度がある限り、不測の事態があったとしても電気の供給が止まることはない。
2022年9月1日より、最終保障供給の料金が大幅に値上げされる
最終保障供給の契約件数は急増している。2021年11月時点では455件だった契約数が、相次ぐ新電力の撤退や電力会社の新規受付停止により、2022年4月には5133件、2022年5月には13045件まで増加した(下図参照)。
(出典:経済産業省 電力・ガス取引等監視委員会「最終保障供給料金の在り方について」)
2022年8月時点では、最終保障供給の電気料金は「各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍」だった。しかし、契約件数の急増によって、一般送配電事業者は予備用電源だけでは電気を賄えなくなり、不足分をJEPXから購入する事態となっている。
そしてJEPXから高額で電気を仕入れても、最終保障供給の料金は「各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍」から変更できない。その結果、最終保障供給の契約の方が通常の電気料金よりも安くなる、という逆転現象が発生した。
これを受けて、経済産業省は「現状の最終保障供給は救済措置としての制度趣旨に背く」として、最終保障供給の料金見直しを決定。2022年9月1日より、下図のように料金体系が大きく変わる。
新しい最終保障供給は、最低料金を最終保障供給料金(各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍)とし、市場価格(電気の仕入れ値)がそれを上回った場合には、補正項(追加料金)がプラスされることになった。
現状、市場価格は最終保障供給料金を上回っている。そして、燃料代高騰の主な原因とされるロシア・ウクライナ問題の先行きが見えないため、今後もしばらくは電気料金の値上げが続く見込みだ。つまり、2022年9月1日より、最終保障供給の料金は大幅に値上げされる可能性が非常に高いと言える。
最終保障供給をやめるなら、
一般的なプランか市場連動型プラン、どちらにすべき?
今後、更なる値上げが予想される最終保障供給。それでは電力契約を検討する場合、一般的な電気契約プランか、市場連動型プランでは、どちらがお得なのか?
一般的な電気契約プランの場合、電気料金の内訳は以下となる。
一般的なプランの電気料金は、「基本料金(使用する施設の規模に応じて決定)」と「電力量料金(使用した電力量に応じた料金)」と「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」が加算されて決まる。
電力量料金には化石燃料の調達コスト(燃料費調整額)が反映されるが、最近はこのコストが大幅に高騰。これに合わせて、JEPXでは電気代が大幅に値上がりしている。電力会社は、電気料金を大幅に値上げするか、赤字のまま電力を供給するかを選択しないといけないのが現状だ。
現状、このプランで電気を供給する多くの電力会社が電気代を1.5〜2倍ほど値上げしている。また燃料調整額は上限が撤廃されることが決定したため、今後も一般的なプランの電気代がさらに高騰するリスクが非常に高い。また、倒産や事業撤退に踏み切る電力会社はこのプランを扱っているため、もし企業が電気契約を結んだとしても、電力難民になる可能性は高いと考えられる。
次に、市場連動型プランの料金体系は、以下のようになる。
JEPXでの電気の取引価格(市場価格)に応じて電力量料金が決まるのが、市場連動型プランの大きな特徴だ。JEPXでは1日を30分単位に区切り、48コマごとに電気を販売しているが、この1コマの市場価格は下記の3つの条件に応じて変動する。
①気象条件…晴れているか、雲がかかっているか
②電力需給…みんなが電気をたくさん使っているか(平日、昼間、夏・冬)、あまり使っていないか(休日、夜中)
③燃料価格…化石燃料の価格や太陽光発電の導入量で決まる
例えば、晴れていて太陽光発電の導入量が増える時間帯や、電力需要が少ない時間、燃料価格が安いときは電力量料金が一気に安くなるのだ。市場価格が0.01円/kWとなることも多い。このように、一般的なプランはいつでも電気料金が一定なのに対して、市場連動型プランは条件が揃えば、電気料金を大幅にカットできることになる。
さらに市場連動型プランの電気料金は、市場価格に電力会社の運営費や送電線の使用料金が上乗せされて決定する。一般的なプランと異なり、市場連動型プランは電力会社が赤字にならないため、倒産や契約解除のリスクがほとんどない。
電気料金を安くできる可能性が高く、安心して電気を使用できる。これが市場連動型プランの大きなメリットだ。
それでは、市場連動型プランと最終保障供給ではどちらがお得なのか?
結論から言うと、今後は市場連動型プランの方が最終保障供給よりも価格メリットが大きいと言える。
上図は双方の料金体系を比較したものだ。右側の市場連動型プランでは電気料金に下限がないため、市場価格が安いときは電気料金も大幅に下落する。しかし、最終保障供給は料金に下限が設定されるため、市場価格が下がってもメリットがない。そして市場価格が高騰した場合はその価格に合わせて値上がりすることになる。最終保障供給は“悪い市場連動型”といっても過言ではない。
市場連動型については、「【図解】市場連動型プランとは?電気料金が安くなる?わかりやすく解説!」でも解説している。
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